広小屋山 県境尾根縦走 余地峠〜大上峠

 
広小屋山
(ヒロコヤヤマ)
標高1485m
長野県南佐久郡
佐久穂町
登山日2018年 4月29日
  広小屋山山頂

● 連休山に行く

 五月の連休に入って、何とか山に行こうと急いで支度をする、行き先は以前から行きたいと思っていた群馬と長野の県境縦走、余地峠から大上峠だ。


 山の会のTさんが以前県境縦走に出かけた余地峠〜大上峠だが、その後「あにねこ」さんが詳しい情報をホームページに載せていた、以前読ませていただいたとき「スズタケ」が枯れているので、枯れた藪が新たに再生する前に行くのが良さそうだと思っていた。


 そういえば何年か前から何処の山に行っても篠が枯れているのを目にする、篠は120年周期くらいで花が咲きその後枯れるというが、何年くらいで新しい篠が生えてくるのか、それとももう生えてこないのか。


 本当は「あにねこ」さんの山行記を熟読し十分コースを調べてから行けば良かったのだが、あいにく時間が無いので、とりあえずホームページを全文プリントして持って行く、A4で11枚にもなる。


 念のためにヤマレコを調べると、なんと県境縦走の記録も載せられているので、GPXデーターを落としてスマホに取り込んでおいた。


 上信越道下仁田で降りて南牧村自然公園キャンプ場を目指す、余地峠に行く道は何処に有るのかと注意しながらキャンプ場に行くと、駐車場のすぐ手前に右に登って行く舗装された道があった。


余地峠へは、ここから右の道を行く 新緑がまぶしいガイドレールの付けられた林道

 山は新緑がまぶしく天気も良く絶好の山歩き日よりだ、ちょっと風が有るがかえってさわやかだ、「あにねこ」さんのプリントの始めの方、余地峠まで書かれている4ページほどを持って歩き始める、舗装された広い林道をプリントを読みながら登るていたらくだ。


 林道はすぐに舗装が切れて、南牧村方面の展望が開けてくる、プリントによると余地峠は群馬県南牧谷と長野県南佐久を結ぶ古来からの主要幹線道路のひとつで余地峠道というのは佐久側で呼び名らしい、交易が盛んで時に馬の背に花嫁御寮がゆれていく旅情も有ったらしい。


 花嫁さんが馬に乗って峠を越えて嫁ぐのはロマンチックにも思えるが、こんな山の中を旅するのは大変だし、当時は親同士が決めた婚姻で婿さんの顔も知らず嫁いで行ったのだろうなどと思いながら林道を登って行くとT字路の広場がある。


南牧村方面の展望 象ヶ滝方面との分岐

 ここは象ヶ滝方面との分岐で余地峠は左長野県方面に向かって山の中に入って行く、林道を登って行くと道路真ん中にニリンソウが一株ある、さらに登ると右にカーブする所に左に南牧村自然公園に行く道が有るようだ。


林道の真ん中にニリンソウが一株 馬頭観音

 歩いていると山仕事なのか、軽トラが一台登って行く、左に分岐が有るが通り過ぎて、プリントを読むと、ここが余地峠に向かう道のようだ、右の木の根っこに赤いテープに余地峠と書かれている。


軽トラックが登って行く T字路右の木の根っこに赤テープに「余地峠」

 この辺りはずっとカラマツの植林地で、左に曲がった道はショートカットの道だったらしくまたちょっと広い林道に出る、道は正面に見えるピークの右側に付けられていて、振り返ると樹林越しに小唐沢山と荒船山が見える、少し歩くと余地峠に着く。


● 余地峠

振り返ると小唐沢山と荒船山 余地峠の石仏

 余地峠は枯れ葉がたまったちょっと荒れた感じの所で、登って来た左側に4体の石仏や石碑が有り、反対の右側には錆びた看板の枠の残骸や十字架が建っている。


錆びた看板の残骸 ここから看板の脇を県境稜線に向かう

 ここでザックを下して休憩する、伊勢崎レピーターはアクセス出来るので、Kさんを呼んでみると赤城山に向かっているようだ、余地峠は樹林帯で展望が良くないがロケーションは良さそうなのでCQを出してみるが、応答は無い、小諸市の移動局の変調が聞こえて来るので、さらにCQを出すと、伊勢崎市の局長さんが応答してくれた。


 コースはここから県境稜線に入る訳だが方向感覚が現実と合って無い、登って来た林道は峠を越えると反対側に下っている、行き先を確認するため地図を見ると、林道は佐久方面に向かい、県境稜線は林道を登って来た時見えていた左側の高まりの方だ、ロクに調べもしないで来てしまったので、この後大変な目にあってしまう。


 地図を確認した事で方向感覚が把握できるように成った、県境稜線は余地峠から道は無く左の藪に入って行く、「日影山国有林」と書かれた看板があり、すぐに作業道なのか整地された道に出る、この道は稜線に沿って右側に付けられていてところどころに鋭角に稜線に向かう短い道が付けられている、スマホのGPSで確認すると道は県境稜線の少し右側を稜線に沿って続いていて途中から稜線に登る事が出来そうなのでこの道を行き途中から稜線に乗ろうと進んでいく。


道は後ろに続き、右に稜線に向かう短い道がある 道は稜線の右に続く

 天気も良くルートも良さそうなので気を良くして進んでいく、作業道を行き途中から稜線に乗ると、踏み跡が有って先に続いている。


ここから稜線に乗る 稜線の上に快適な踏み跡が続く

 すぐに標石の有るピークに出る、ここから尾根は南に下って行く。


標石の有るピーク 尾根は南に続く

● ルートを間違える

 尾根を南に向かうが「あにねこ」さんのプリントに書かれたレポートと様子が違うのでGPSを確認すると、なんと県境稜線から大きく長野県側に入りこんだ所にいる、作業道は途中から県境稜線から長野県側に行ってしまっているらしく、もっと早いうちに藪を漕いで県境稜線に上がるべきだった。


沢が始まる所 カラマツの稜線が県境のようだ

 本来県境縦走なのだから初めから県境稜線を目指すべきだったのだ、地図で見ると稜線から西に延びる尾根を来てしまったらしい、戻るのにはだいぶ進んでしまったので東に見える尾根を目指し谷に下る事にする、地図を見る限り崖はなさそうだ、藪の中を1300mくらいまで下ると水が湧き出し沢の始まる所がある、湿っているのでハシリドコロが沢山ある。


 道の無い山などあまり登った事が無いのだから良く調べてから来なくてはいけないのに甘く見すぎたようだ。


 左手にスマホを持ってGPS頼みで歩くが、スマホの画面は節電のためにすぐに消えてしまう、このような使い方をするのならストラップを付けて節電も切る設定をしないと使いづらい、おまけに手袋を付けると画面の操作が出来ない。


● 県境稜線に戻る

やっと県境稜線に乗る 樹林越しに緑岩

 水源地を越えてから稜線目指して登り返す、歩きづらい斜面を枯れた枝など除けながら稜線に登り上げこれで一安心かと思ってGPSを見ると、県境稜線はさらに東のようで直登するのは大変なので1350mくらいの高さで斜面を進み何とか稜線に乗る事が出来た。


南牧村自然公園キャンプ場の屋根 鹿岳、四ッ又山

 県境稜線は枯れた篠が少し有り、群馬県側はすっぱりと切れ落ちていて樹林越しに南牧村の特徴有る山が確認できる、南牧村自然公園キャンプ場の赤い屋根もすぐ下に見えている、正面に小高いピークが有り、登り上げると1410m峰だった。


正面に1410m峰 1410m峰

 1410m峰の山頂は傍らの木に「多野東猟友会」のテープが付けられている、展望もまずまずで群馬県側の展望が良い。


多野東猟友会のテープ 荒船山の稜線

 ここでしばし休憩し、この先のルートを確認する、1410m峰から南側の斜面はかなり急でGPXのデーターでは少し西に行ってから南に下っているので、私もこれにならって西の稜線を行く、枯れた篠藪の中を歩きやすそうな所を探して南に下るがちょっと行き過ぎたようで東に向かうと藪が無くなり稜線に出た、正面にピーク見えてこの稜線を右に行くと目指す広小屋山らしい。


枯れた篠藪の中を進む 広小屋山の東のピーク

 枯れた篠藪は埃っぽく倒木なども有って歩きづらい、でもこれが見通しの効かない本当の篠藪だったらとても一人で来ることなど出来そうも無い。


矢沢峠の看板 広小屋山の東のピークを巻いてしまいそう

 下って行くと矢沢峠の看板がある、ルートは間違いないようだ、下ってまた登りにかかるが踏み跡は獣道なのか歩きやすそうな所を行くとピークの右側を巻きそうなってしまうので戻って迷いながらも、尾根の方に向かう。


道は無いがピーク目指して登る 広小屋山に続く尾根に乗る

 GPSの航跡はピークに向かってから、広小屋山に向かう稜線を進んでいるが、稜線が右に見えるのでショートカットで稜線に向かい緩やかな斜面を登ると広小屋山の山頂に立つ事が出来た。


● 広小屋山

広小屋山山頂 アンテナを設営

 広小屋山の山頂は樹林帯で展望は効かない、西の方に山が二つ重なって見えるが遠くの山は雪で白い八ヶ岳のようだ、南西の方向に明瞭なピークが見える、形からして御座山のようだがどうだろう、南側には古谷ダムとダム湖が有るはずだが樹林に遮られてか地形が悪いのか全く見えない、近くにちょっと盛りを過ぎたコブシの木が有る。


 時間も丁度良いので昼食にする、アンテナを組み立ててCQを出すと埼玉県の久喜市、加須市、狭山市の局と交信することが出来た。


広小屋山東のピークの標石 この杭を頼りに下る

 広小屋山からの下りは東のピークまで行ってみると標石がありここから下れば良さそうだが藪がひどく急斜面が南に下っている、踏み跡はいくつかあるが急斜面の上藪が酷い、もし間違えていたらこの斜面を登り返さないといけないのでちょっと戻ってみるが、この急斜面を下るのに間違いないようだ、意を決して下り始めるとオレンジ色の杭がある、これが有ればルートは間違いないので、後はこの杭を探しながら急斜面を注意深く下って行く。


急斜面は続く 底が白くなって沢が始まる

 左側が切れ落ちた稜線に出て下って行くと左の斜面に底が白くなった沢の始まりがある、先で斜面が沢に崩落しているが、ここから流れ出る沢が下を走る道路の所では立派な沢に成っているようだ。


ミツバツツジが咲いている 稜線の近くまで崩落している

 下って行くと今日初めての綺麗なミツバツツジが咲いている、ルートは明瞭でここまで来ればもう安心だ、枯れた篠藪のルートは何の為か人工的な高まりがずっと付けられていて途中の木に地籍調査のテープが巻かれている、左の方樹林越しにのこぎり岩の岸壁が見える。


地籍調査のテープ 自然樹木園に出る

 下って行くと広い樹林帯に出て、スズタケやウリカエデなどの植物の名前を書いた看板が立った大上峠の自然樹木園に出た。


● 大上峠

大上峠 帰り道広小屋山の東のピークを見上げる

 放置されて荒れてしまった樹木園から舗装された道路に出ると正面には「大上峠」の大きな石碑が有り、道路の傍に椅子とテーブルを置いてくつろいでいる御婦人がいた。


 私が森の中から出ってきたので驚いた様子、御婦人は妙義町に住んでいてほとんど車の通らない静かな林道を一人でドライブされてここで食事をしていたようだ、余地峠から来たと言うと、余地峠に是非行ってみたいという、アクアにお乗りだがジムニーなら行けますよと言うと危ない所に行くと困るのでジムニーは家族から反対されて乗れないという。


 そんな話をしてしばらくしてから、舗装道路を南牧村自然公園キャンプ場に向かう、久しぶりの山歩きは調査不足から大変な目に有ったが、当初の目的は達成できて充実した気分で帰路に着いた。



● 記録


 南牧村自然公園キャンプ場駐車場 8:03 -(0:55)- 8:58 余地峠 9:25 -(0:26)- 9:51 ルートを外している事に気づく -(0:27)-


 10:18 稜線に戻る -(0:14)- 10:32 1410m峰 10:43 -(0:23)- 11:06 矢沢峠 -(0:44)- 11:50 広小屋山山頂 12:59 -(1:05)-


 14:04 大上峠 14:27 -(0:39)- 15:06 駐車場


カシミール3Dで作る

2018年 4月 foxtrot