北尾根から登る西御荷鉾山

 
西御荷鉾山
(ニシミカボヤマ)
標高1286m
藤岡市、神流町
登山日2016年 2月21日
  西御荷鉾山山頂

● 2月の山

 西御荷鉾山は1994年に登っている、山歩きを始めて間もない頃で、御荷鉾林道から急な道を登ること30分くらいで山頂に立ったと記憶している。


 去年山の会で西御荷鉾山山行が計画されたが以前行った事が有るので参加しなかった、後で聞いたら北尾根から登ったという。


 山と高原地図を見ても西御荷鉾山の北尾根というルートは載っていない、どんな所を登ったのか興味を覚えた。


 山の会のTさんが打田^一著「藪岩魂」という本を貸してくれた、西上州の岩山など難易度の高い山が中心に紹介されていて、西御荷鉾山の北尾根ルートも載っていた、山の会で登ったのはこのルートだった、今の時期に登るのに良さそうなので行ってみることにした。


 藤岡市から高崎神流秩父線を日野方面に向かう、この道は途中に2千階段の西側の登山口がある、先に行くと稲含山の登山口の那須に通じていて途中にオドケ様の湧き水がある、以前一度だけ通った事があった。


 小柏地区からエースゴルフクラブに向かう、この道は「奥の反」方面への迂回路に成っている、クラブハウスの前を通りネットの掛けられた道を迂回路の看板に導かれて進むと正面に不動明王と書かれた鳥居がある、ここが西御荷鉾山北尾根の登山口に成っている。


 ここは鼠喰城(ねずはみじょう)という南北朝時代の城跡が有るところで試しに「鼠喰城」でネット検索すると城跡などのページがヒットする。


● 登山口

不動明王の鳥居 尾根の傾斜はこんなもの

 道路わきに車を停めて鳥居をくぐって登り始める、御荷鉾山社営林群馬県造林公社と書かれた標柱が立っていて、尾根筋には「大倉」と書かれた杭が山頂までずっと付けられていて迷う事は無い、うす暗い檜の植林地の中の尾根はあまり踏まれてないようだが急な尾根が上に向かっている、今日は天気は良いが風が強く寒い。


大倉と書かれた杭 ますます急になる

 植林地が終わると尾根はますます急になり、トラロープが付けられている、だいぶ前に付けられたようで木の成長でロープが樹皮にめり込んでしまっている。


樹皮にトラロープがめり込んでいる さらに尾根は急になる

 昨日の雨で斜面は湿っていてとても滑りやすい、登って行くと正面の尾根はさらに急に成っていて右に尾根を迂回する踏みあとがある、ピンクのテープが付けられているのでこちらの方に行ってみる、登りは緩やかだが踏みあとがあやしくなってくる。


 けもの道なのか幾筋もの踏みあとがあるので、歩きやすそうなところを適当に歩くが、右側は深い谷に成っていて落ちたら只では済みそうにない、斜面は湿っていて滑りやすく、木の枝などを掴みながら登るが、枯れた枝が多く捕まっても大丈夫か確かめながら慎重に登って行く、でも尾根を外すと登るのは大変だ、テープを頼りに登って行くとまた尾根上に戻る事が出来た。


 やはり尾根上の方がルートがしっかりしていて歩きやすい、少し登ると正面に崖が出てきた、テープが付けられているので登山道はここを登るようだ。


● 急な尾根

正面に崖が 倒木をくぐると祠がある

 崖に取りつく前に10分ほど休憩する、「藪岩魂」の概念図をコピーして来たので確認すると、城跡の最上部に祠が有ると書いてあるが、まだ祠を通り過ぎてないのでさらに先に有るようだ、こんな厳しい自然の中に城を作るとは、戦国時代では怖いのは厳しい自然よりも、殺しに来る敵対する人間なのかと思ってしまう。


 休憩後崖に取りつく、まずストックで枯れ葉をかいてどかし足を置けそうな所を探す、幸い木の枝や岩角など手がかりが有るので登るのは、思ったほど大変ではなかった、倒木の下をくぐって登り右に巻くと、トタン板で屋根を葺かれた祠のある展望のよい所に出た。


● 城跡の祠

鼠喰城最上部の祠 浅間山、妙義山の展望が良い

 ここが鼠喰城跡の最上部のようだ、浅間山や、妙義山の展望が良い、ここから一旦下って今度は東側が杉の植林地になる、この辺りは快適に歩けるが、再び尾根は急に成り残雪が出てくる。


左側が杉の植林地 登って行くと残雪が出てくる

 落ち葉の積もった尾根は滑り安く注意深く登って行くと尾根はさらに急に成ってきて、雪にトラロープが埋まっている。


● 残雪の斜面を登る

斜面が急に成るとトラロープがある 斜面の角度はこんなもの

 雪に埋まったトラロープを引きだしてロープに着い雪をストックの柄で叩いて払い落し、ロープを頼りに登って行く雪と枯れ葉のザクザクの斜面だが、ロープがあるので何とか登る事が出来る。


大きな岩の間を登る 斜面を緩やかな雪原になる

 何本ものロープを伝って登って行くと、尾根は大きな岩の間を登り傾斜が緩やかになる、20cmほど積もった雪の斜面を大倉の杭を頼りに登ると、西と東の御荷鉾山を結ぶ縦走路の十字路に出る、右に行くとすぐに東西に長い西御荷鉾山の山頂に出た、北向きに日野側の不動尊がある、こんな立派な不動尊が祭られているという事は昔は沢山の人が北尾根を登っていたのかもしれない。


● 西御荷鉾山山頂

西御荷鉾山山頂北向きに不動尊

 西御荷鉾山山頂は登山者もなく独り占めだ、不思議な事に登る途中で吹いていた強い風は山頂では弱く日差しが有るので暖かい、山頂眼下には御荷鉾高原荘の建物があり、正面に見えるのは父不見山のようだ、最近登った二子山やその先に両神山、去年歩いた赤岩尾根や、三角形の大ナゲシなども良く見える。


 その先の高い山は、山梨県との県境の山だろうか、しばし展望に見とれてしまう。


大展望が広がる

● 不動明王像

山頂の不動明王像

 山名板と三角点のある山頂にはアルミの縁台が有るのでここでお昼を頂き、何時ものように4エレ八木アンテナを組み立ててCQを出すと、何度も交信していただいている前橋のYさんが応答してくれた、その後坂東市、世田谷区、飯能市、和光市、高崎市の局が呼んでくれて、最後は、寄居町の鐘撞堂山に登っている局長さんと交信することが出来た。


登って来たトレースを下る 鼠喰城跡の祠の直下にはこんな岩が

 帰りは登って来たトレースを忠実にたどる、トラロープがあるおかげで快適に下れる、鼠喰城跡の祠のところで一休みし、登って来たとき迂回した尾根はまっすぐ下ると、急な尾根にはここにもトラロープが付けられていた。


迂回した尾根に付けられたトラロープ

 西御荷鉾山は簡単に登れると思って出かけたが、勾配がきつく、前日の雨のせいもあってなかなか手ごわい山歩きであった。


● 記録

 不動明王 8:33 -(1:07)- 9:40 休憩 9:47 -(0:10)- 9:57 祠 -(1:33)- 11:30 西御荷鉾山山頂 13:11 -(0:37)- 13:48 祠


 13:55 -(0:48)- 14:43 不動明王


登り赤、下り青、カシミール3Dで作る

2016年 2月 foxtrot