登頂出来なかった「浅松山」 2014年5月25日 利根郡川場村

なかのビレジ手前から見る「浅松山」?

●5月にもう一つ

 今月は連休に「三ッ岩岳」〜「大津」に登ったが毎週初夏の好天が続くともうひとつくらいどこかに登ってみたい。


 「群馬の山歩き130選」で登り残している山に「浅松山」がある、川場村なので簡単に行けそうなのでここに登ってみることにする。


 130選によると林道歩きが多く簡単に登れそうな山だ、地形図のコピーに130選の概念図からルートを書き込んで、6mの無線機も持って行くことにする。


 高速を下りて川場村に入るとリンゴ畑が沢山ありる、川上村のレタスがリンゴに変わったような村だ、道の駅川場田園プラザや天狗山などというのがあるので帰りに寄ってみようと思いながら、なかのビレジへ車を進める。


林道を左に行く 右展望広場の道標

●林道歩き

 「浅松山」は一応時計回りに周遊するつもりなので、なかのビレジの前を通りすぎ、裏の炭焼き窯の駐車場に車を停めた。


 ここから林道を歩きだす、植林地を抜けると山菜取りをしている人がいるので「浅松山」について聞いてみるが地元ではないので解らないとの事、道標は沢山あるが、「浅松山」については何も書かれて無いのが気にかかる。


森の先に簡易トイレが二つ ここが展望広場?浅松山への道標がある

 林道を登って行くと森の先に簡易トイレが二つ並んである、130選にトイレの事が書かれていたような気がしたのでここを登って行けば良さそうだ、ルートに乗れたようなのでひとあんしん。


 道標によれば林道の先には展望広場とある、登って行くと浅松山への道標がある林道の終点に着く、でもそこはお世辞にも展望が良いとは言えないし広場というほど広くもない。


植林地の登山道 ヒトリシズカ

●登山道は荒れている

 道はここから登山道らしく成ってきたが、来る人がいないのか荒れている、踏み跡が不明瞭なところを抜けると林道に出た、これが林道太郎線と思われる。


踏み跡が不明瞭 林道に出た!

 林道は整備されてあまり時間が経って無いようで途中の登山道が荒れていたのと対照的だ、水の流れた跡なども無い。


 カーブの所右側の木に赤のテープが巻かれ、レジ袋が取り付けられている、中にはカップ麺のカップだけ入っている、これは一体だれが何のために取り付けたのだろう、綺麗な林道にゴミを捨てるなとでもアピールしているのか。


テープにレジ袋 大きな木のたもとで休憩

 林道を進むと大きな木のある広場があったので、休むことにした、新緑がまぶしい。


 単調な林道歩き、天気は良いが遠くは霞んでいてほとんど見えない、樹林越しに雪山がわずかに見えるのが武尊山のようだ。


荒れた東屋 尾根に登る踏み跡

●東屋にきてしまう

 どのくらい歩いたのか、林道を行き右にカーブすると斜面に東屋がある、途中右側に「浅松山」の山頂へ登る道があったはずだが全く気が付かずに通り過ぎてしまったようだ。


 東屋もかなり古く荒れている、林道を進むと笹の刈り払いも無くなり狭くなるが、林道はさらにずっと先に続いている、途中右に「浅松山」の山頂に向かう道があるはずなので歩いて行くと植林地の右側に尾根に向かう刈り払いがある。


踏み跡が無くなる 持ってきたGPSで確認する

●藪に道を失う

 ここを行けば「浅松山」に行けるのではと登って行くとやがて踏み跡が無くなってしまう、笹やぶだがかつては道があったような幅5mくらいで両側がすこし盛り上げられたような地形が藪の中に続いている、植林地のなか先にピークが有るようなので行ってみるが、笹やぶばかりで山頂はなく先で下ってしまう。


 これでは行っても仕方がないので登って来た方へ戻ろうとするが、方向が良く分からなくなってしまった、今日は先日Hさんから借りてきたガーミンのGPSを持ってきて入るので、出して電源を入れるがバッテリーが少ないようで表示が不安定だ。


 充電済みのNi-MH電池があるので入れ替えてみると表示がでるが方向が定まらない、電池交換後の初期設定がしてないので方位が定まらないようだ、それでも地図ページには浅松山の表示が出るのでそちらの方向に行ってみるが、歩いているうちに方向が変わってしまう。


 初期設定をすれば良さそうだがしばらくぶりに扱うガーミンなので校正のページが見つからない。


登って来た方に戻る

 あてに成らないガーミンを諦めて登って来たと思われる方向に戻ってみるが、かなりの距離を歩いたのに刈り払いの道に戻れない、尾根を一本間違えているのかもしれない、晴れて遠くの山が見えれば方向が解るのだが、あいにく今日は霞んでいて遠くの山は全く見えない、シルバコンパスを持ってこなかったのが悔やまれる。


 このあたりの山は1200mくらいのピークが沢山有って何処も同じように見えてしまう、歩きまわっていると、ますます方向が解らなくなるし、笹やぶが引っ掛かって靴ひもが緩み、靴の中には笹のカスが入って来て泣きたい気分だ、藪こぎなどするつもりが無かったのでスパッツは持ってきてない。


 遠くで川場村のSLの汽笛が聞こえる、こんな状況を”遭難”というのかという考えが頭をよぎる。


 携帯を持っているので、110番して、「すみません山の中で下りる道が見つからなくなってしまいました」と言えば良いのだろうか、こんな里山で助けを求めるのは何ともカッコ悪い、まだ時間も早いし、食料もあるし体力も大丈夫だ、冷静になって何が最善か考えることにする。


 靴ひもは結んだ輪の所を小さくして外に出ないように中に挟みこんだら緩まなくなった、地図を見ても何処に居るのか解らないので、再びガーミンを出して目印に成る「浅松山」方向に歩いてみる、山頂に出れば降るルートが見つかるはずだ、前に来たのと同じ方に堂々巡りしているようだがこのさい仕方が無い、始めに来た左の方向に尾根が続いているので行ってみると、植林地で笹やぶが無く歩きやすい。


植林地は笹やぶが無く歩きやすい

 でもやはりガーミンは方位が定まらず相変わらず堂々巡りに成ってしまう、やぶの無い所でザックを降ろし休むことにする。


 やぶの中を歩いていると、瓶やカンなどのゴミがある、林業の人が持ち込んだものかもしれない、山にゴミを持ちこむなと言うが、やぶの中をさまよっていると、ゴミでさえ人が入ったのが感じられすこしホットする。


 植林地は林業の為人が入っている、下って行けば林道に出られるのではないかと、考えが浮かんだ、植林地を外さないように降ることにする、下って行くと岩場の崖の上に出た、展望が開けるので岩の上から下を眺めたが林道は無さそうだ、戻って急な斜面を下って行く、急な斜面で崖に出てしまったら戻るしかないがこの際ほかに方法は無い、思いが通じたのか下って行くと林道に出ることが出来た。


正面の藪から林道に出る 林道を戻る

●林道に戻れた

 狭い林道だが道は何と歩きやすいのだろう、林道を戻ると途中藪に登った分岐がある、どうやらずっと歩いてきた林道のさらに先の方に下ったようだ。


東屋に戻り遅い昼食を摂る

 林道を東屋まで戻り、ここで遅い昼食をとることにする、地図で調べると「浅松山」を通り越して東に行った1300m足らずの山の中を彷徨ったようだ。


●やっぱり道は無い

錆びたワイヤがある、ここに道があった? 錆びた鉄のアングルとテープが巻かれた木

 休憩後林道を戻ることにする、「浅松山」に登る道があれば登って山頂に出て周遊出来るが見つからなければ登って来た林道を戻る事に成る、林道の南側の斜面を注意しながら歩くと、カーブの所に索道に使った錆びたワイヤがあるがここに浅松山に登る道があったのだろうか、すこし下ると錆びた鉄のアングルと木にテープが巻かれた所があったが、ここも良く見ても踏み跡らしきものは見られなかった。


 「下山コースビレジまで60分」の看板のところまで戻り、荒れた登山道に入るとヤマツツジが綺麗に咲いていた。


ヤマツツジが咲いている 境界見出標

●また道を失う

 すこし下るとまた林道に出たのでそちらの方に行くが、林道は西の方に向かっていて、登って来た方向と違う事に気づいた、すぐに戻り荒れた登山道に入るが、登って来たところか定かでない、もとより周遊するつもりで登って来たので、帰りの事など全く気にしてなかった。


 下って行くと境界見出標がある、さらに下ると右の方に重機があり林道の工事現場がある、登って来たときには全く気づかなかった。


 何かおかしいと気がついたときにはすでにかなりの距離を下ってしまった後だった、登って来た時は重機のある林道のそばなど通らなかったのだ。


 地図で確認すると、このまま下ると「なかのビレジ」の方に下れないような気がする、川場湯原の方に行ってしまいそうだ。


 でもすでにここから戻る気力が出ない、「なかのビレジ」に戻れないと決まった訳ではないのでそのまま下って行くとまたもや植林地に入ってしまう、急な植林地を踏み跡らしきところを探して下って行くと小さな沢に出た、見れば左岸の方が歩きやすそうなので沢を渡ってさらに下って行く、こんなところを下って行くと橋のたもとに出るものだが、早くどこかに出ないかと思いながら歩いて行く。


植林地の沢を下る 木の植えられた広場

 どのくらい歩いたのか、植林地が切れ草付きの広場に出た、支柱の付いた植木と先に朽ちた木の階段がある、階段を登ると林道に上がる事が出来た、林道に上がれたことで一気に疲れが出て道の真ん中に座りこんでしまった。


●千年の森

千年の森 蓮根川を渡る

 しばらく休憩後林道を下る事にする、この林道は上にも続いているがもはや上に登って行く元気は無い、それでも下って行くと左に道があり伐採の現場で大きな重機が停められている、上に行く道は無いかと行ってみるが、道は無さそうだ、仕方が無いので後はひたすら下る事にする、下って行くと人家が見えてきた、思った通り川場湯原地区で蓮根川に架かる橋を渡り歩いて行くとすこし登りに成る、相当疲れているようで、足が攣りそうになる。


 道端の石垣が座るのに良さそうなのでここに座り込み休憩する、おにぎりを一個とコーヒーを入れる。


 食事と甘いコーヒーが効いたのか、わずかな登りだが歩いても足は攣らなくなった、これなら何とか車を停めたところまで戻れそうだ、沼田方面に向かう広い車道を下り、中学校のところで蓮根川を再び渡り中野地区へ登って行く。


 リンゴ畑のあるこのあたりの家は花が沢山咲いている、道端には観音様がある、ほとんど車の通らない道をトボトボ歩いて行くと天狗山公園がある、ここまで来ればあと少しだ、それでも何とか日が暮れる前に駐車場に戻る事が出来た。


道端に有った十四番聖観音 三ツ峰山の夕暮れ

●記録

 炭焼き窯駐車場 8:08 -(0:20)- 8:28 浅松山道標 -(0:45)- 9:13 林道に出る -(0:12)- 9:25 大きな木の所で休む 9:35 -(0:41)-


 10:16 東屋 -(0:06)-10:22 尾根に上がる -(0:07)- 10:29 やぶに捕まる -(3:06)- 13:35 植林地で休む -(0:38)- 14:13


 林道に出る -(0:19)- 14:32 東屋 14:52 -(0:37)- 15:29 林道から下る -(0:50)- 16:19 千年の森に出る -(0:03)- 16:22


 林道で休む 16:28 -(0:29)- 16:57 橋 -(0:52)- 17:49 天狗山公園 -(0:16)- 18:05 駐車場


●反省

 簡単に登ってこれると思って出かけた「浅松山」だったが、登頂出来なかっただけでなく、長い時間藪の中を彷徨い、帰りに再び道を失って1:30も余分にかかって帰るという、失敗をしてしまった。


 群馬の山歩き130選によると1981年中野ビレジが出来て浅松山のハイキングコースも整備されたとある。


 今から33年も前の事で、この頃行けば難無く登れた山だったのだろう、帰ってからNETで調べると5,6年前でさえ、林道から藪こぎをして登ったとある、帰りの道で迷って私と同じように違うところに下りてしまったレポートもあった。


  130選に載っているからと最新の情報を調べもせずに行ったのと、借り物のガーミンは以前にちょっと使った事があったが、電池交換後の、電子コンパスの校正方法が解らなくて、かえって問題を大きくしてしまった。


 これもマニュアルを見ながら校正したら問題無く使う事が出来た。


 もう一度行けば「浅松山」の山頂にたどり着くことは出来ると思うが、調べたところ山頂はあまり展望が良く無さそうだ、はたして行く価値があるのか、でも山頂にたどり着けないのは情けない機会があったらまたチャレンジしてみよう。


 スマホがあればおかしいと思ったところで最新の情報が入手できる、東屋のところでNET検索していれば、かってな思い込みで藪に入ってしまう事もなかったろう、藪の中でNET検索なんてちょっと滑稽だが危険を回避出来るのであれば、それも有りだと思うが、圏外という事もあるのであてにしすぎると危険だが山歩きの強力なアイテムには成りそうだ。


 スマホのGPS機能についてもちょっと調べてみた、測位に時間がかかるが衛星で測位すれば、極めて正確に位置を知ることができそうで、圏外でも使えるアプリさえあれば何処でも使える、スマホは電池の持ちも悪そうだが、使い方によっては山歩きの強力なアイテムになるので導入を考えるべきだろう。