剣ヶ峰

北佐久郡
御代田町

標高2281m

登山日2013年
9月14日
剣ヶ峰山頂

●剣ヶ峰の移動局と交信

 2年も前の事だが藤岡市の庚申山に散歩に行った時に、何時も無線で交信していただいているKさんが浅間山の「剣ヶ峰」に登っていた、ハンディ機を聞きながら散歩していたのでKさんのCQに応答して交信していただいた事がある。


 標高が高く南側にさえぎる物のない剣ヶ峰は電波の飛びも良さそうだ、以来私も何時か「剣ヶ峰」に登ってみたいと思っていた。


 最近の天候は週末ごとに天気の悪いパターンに入ってしまい、予定した山行が中止に成る事が多かったが今週は台風が近づいているにもかかわらず土曜日は何とか天気が持ちそうなのでこの際「剣ヶ峰」に行ってみることにする。


 浅間山は1997年9月28日に当時の無線仲間4,5名で登っている浅間山荘から湯の平に行き、禁をおかしロープをまたいで浅間山の火口まで登った、火口を廻っていると風下になり火山ガスを吸わないように息を止めて歩いたがそれでも少し吸ってしまい”ウッ”となった事を覚えている。


16年前の浅間山の火口

 火口は白煙をあげていて生きられる物の全くない世界、正に「地獄」を見た様な衝撃を受けたのを覚えている、この日は天候に恵まれ登山禁止にも関わらずかなりの数の登山者が登っていた。


 「楽しい群馬の山歩き」さんのホームページを参考に地形図にルートを書き込んで剣ヶ峰の山歩きに備えた。


●浅間山荘

 16年ぶりの浅間山荘の駐車場に着くと係員がいて駐車料金¥500を取られてしまった、下の駐車場は無料とNETに書いてあったが、最近は全て徴収しているのか、50台位は止まれそうな広い駐車場にはすでに沢山の車が駐車していて支度をしている登山者もいる。


 以前と雰囲気が違うので隣で支度をしている若い娘さんのいるファミリーに何処に登るか聞いたところ、娘さんは解らないと言い、お父さんが「前掛山」に登ると答えが返ってきた、そういえば浅間山の登山が前掛山まで解禁されたと聞いたのはだいぶ前の事で、旅の番組でタレントが前掛山に登っているのをテレビで見た記憶がある。


 という事は「100名山の浅間山」は以前は黒斑山だったが今では「前掛山」に成るはずで当然ここに来る人たちは100名山の浅間山に登る人たちという事に成る、「剣ヶ峰」の事しか考えて無かったので馬鹿な質問をしてしまった。


 支度を整えて出発する、件のファミリーが前を歩く蛇堀川に沿って林道を歩くが、沢音につられ川を見るとこの辺りの川床は赤土で石尊山を思わせる。


蛇堀川の川床 不動滝

 天候は曇りで予報によればお昼頃晴れになるはずだが、今日も展望は駄目かと思いながら歩く、帰りに利用するかもしれないヒサシゴーロ尾根が登山道の右側の斜面に有るはずなので確認しながら登って行くと、確かに長い斜面が一直線に下っている、二の鳥居を過ぎたあたりから上空に青空が見えてくる、出発から一時間ほど歩いたところで休んでいると 一の鳥居で追い越したファミリーやその他沢山の登山者が登って行く。


●天候が回復してくる

牙山が見えてくる トーミの頭方面

 カモシカ平まで来るとガスが晴れ牙山(ギッパヤマ)やトーミの頭、黒斑山などと思える岩峰が見えてくる、花の時期は過ぎているがそれでもハクサンフウロやアザミ、ユキワリソウ、トリカブトなど沢山咲いている、それとキノコが沢山ある。


トリカブト フウロ

●火山館

火山館に着く

 16年前来た時はキノコ採りの団体さんがいた事を思い出した、火山館に着くと私が休んでいたときに追い越して行った人たちが沢山休んでいる、剣ヶ峰方面はここから分かれるはずだが、案内の標識等は無い、火山館の人に剣ヶ峰はこちらですかと聞くと、そうだがお勧めしませんと言われてしまった。


 沢山の人が休んでいる火山館を後に私一人だけが綱の張られた道を森の中に入って行く、踏み跡はしっかりしているが、濡れたシラビソの枝が張り出していて歩きにくいゴゼンタチバナの赤い実とクロマメノキの花のつぼみなのか白い玉が沢山 付いている。


森の中を行く ゴゼンタチバナ

クロマメノキの蕾? 東大2と読めるパイプ

 鬱蒼とした森の中を歩いて行くと右側に白いパイプが突き刺さっていて東大2と読める下に火山研究の施設が埋められているのか、さらに先に進むと地面を掘った様な窪みがあり電線が露出しているところに出た、踏み跡は正面に続くが森に入るとすぐに無くなってしまった。


 戻ってみると電線の出てきた方向に踏み跡が続いている、つまりルートはここで右に曲がっていた、太いケーブルが露出している所も有るのでこの踏み跡は浅間山の観測をする為にケーブルを埋設した道なのかもしれない。


切れたケーブルが露出していた

 ほぼ平らな所を歩いて行くと広場に出た、ここが天狗の露地らしい、正面に前掛山が良く見え目を凝らすと登山者も何名か確認出来る、反対の西の方には剣ヶ峰に続く尾根の張り出した岩峰が高くそびえている。


天狗の露地から前掛山 剣ヶ峰から張り出した岩峰

 ここで休憩して地図を確認する、問題は剣ヶ峰に向かう尾根の取りつきで、今まで歩いてきたところにそれらしい所は無かったので、この先の何処かに右に曲がるルートが有るはずだ。


●尾根に取り付く

木の幹に黄色のテープ この尾根を登る

 歩き出すと道は下って行き尾根への取りつきはすぐに分かった、右側を注意しながら行くと木の幹に黄色のテープが巻かれていて踏み跡が左上に続いている。


 草付きの急な尾根は登れそうな所は沢山あるが、なるべく尾根の真ん中を目指して登る、樹林帯が切れると後ろに浅間山が大きく見えてくる、急な尾根を草や木の枝をつかんで這い上がるが5,6メートル登るだけで息が上がってしまう、狭い岩峰の脇を通って登って行く、岩の隙間を覗くとヒカリゴケが緑色に光っていた。


露岩の脇を通る 切れ落ちた岩峰

 剣ヶ峰の山頂標識はピークから少し先に行った所に置かれている、ひとまず帰りに行けたら行ってみようと思っていたヒサシゴーロ尾根の先を見たが、生憎ガスが湧いて来て先は見えなくなってしまった。


●剣ヶ峰山頂

剣ヶ峰の山頂標識 標石、これは何の標石か

 帰り道に未確認の尾根を利用するのは一歩間違えて違う尾根に迷い込むと危険なので、今回は同じルートを戻る事にする。


 山頂標識の所にザックを下してアンテナを組み立てる、1200MHzでCQを出してみたら伊勢崎のモービル局が応答してくれた、430MHzは土曜日だしロケーションが良いという事もあって開いているチャンネルが無い、使って無いのに番付きをして いる局がいる。


 それでも空きチャンネルを探してCQを出したところ、野田市の局、秩父の大霧山の局、富岡市の移動局、浦安市の局と交信出来たが、マナーの悪い運送関係の局が自分のチャンネルだとばかりに出てきて非常に気分の悪い思いをさせられた。


 無線運用をしている間にも、ガスが湧いては消えて浅間山の山頂が全く見えなくなったりはっきり見えたりと天候は目まぐるしく変わる。


 2時間近く山頂で遊んでアンテナを撤収帰る事にする、登って来た方に戻り一番高い所に来ると天候も回復して最高の展望が広がる。


●浅間山の展望台

浅間山

黒斑山方面、牙山を俯瞰する、火山館が小さく見えた

 ここからみる浅間山は本当の素晴らしい、この広大な景色は写真には収まりそうに無い何時までも眺めていたいが先の急な下りは不安もあるので去りがたい気持ちを振り切って下りにかかる、ところどころに赤テープが有るのでそれを頼りに尾根を外さないように下った。


天狗の露地で休憩 不思議な窪地

 沢山の登山者が休んでいる火山館に下ると管理人がいて”登れましたか”と聞かれてしまった、”良い山ですね、けっこう人が入っているみたいですね”と言うと、団体が登ってますよ言われた。


●ヒサシゴーロ尾根

 二の鳥居で休憩し、やはりヒサシゴーロ尾根の取りつきが気になるので注意しながら下って行くと、一の鳥居のちょっと下あたりの斜面に赤いテープが取りつけられていて、藪の中を覗くと黄色のテープも有るので、ここが尾根の取り付きのよう だ。


斜面に付けられた赤いテープ

 これを書きながら調べると例の不思議な窪地は、浅間山の噴火で火山弾が落ちて出来た窪地らしい、「剣ヶ峰」の山頂標 識の位置も標石らしい石が埋められていたので、山頂標識を置いたようだが、剣ヶ峰には三角点は無いので、展望のよい一番高い所が2281mの本当の山頂に成るのではないかと思うがいかがなものか。


 「前掛山」はまだ登って無いので、天気の良い時に機会をみて登ってみたいものだ。


●記録

 駐車場 7:19 -(1:08)- 8:27 休憩 8:35 -(0:31)- 9:06 火山館 9:09 -(0:31)- 9:40 天狗の露地 9:50 -(0:04)- 9:54 尾根


 に取り付く-(0:45)- 10:39 剣ヶ峰山頂 12:26 -(0:33)- 12:59 天狗の露地 13:10 -(0:20)- 13:30 火山館 -(0:35)- 14:05


 二の鳥居 14:08 -(0:13)- 14:21 一の鳥居 -(0:27)- 14:48 駐車場