湯桧曽川沿いの新道を偵察


武能岳
標高1760m

茂倉岳
標高1978m

一ノ倉岳
標高1974m

谷川岳
標高1963m

登山日6月23日
新道から縦走路に出る

●新道を偵察

 谷川連峰の縦走コースの山は、昨年最後に残った「七ッ小屋山」に登れたので、完登となったが、「朝日岳」から清水峠を越えて「七ッ小屋山」に至るルートは歩けてない。


 一日で馬蹄型縦走をする人もいますが、私の体力では到底叶わない、谷川連峰の地図を見ると、蓬峠から、白樺小屋に下り、湯桧曽川に沿って付けられた新道を土合に下れば、この残されたルートを歩けるかもしれない。


 だいぶ前の事になるが、一度旧道を歩いた事がある、一ノ倉沢出会いの駐車場に車を駐めて、旧道を登りたぶん芝倉沢だと思うが、沢に着くとコンクリで固められた、堰堤の様な所を、水が轟音を立てて流れていて、とても渡れそうになく、そこから引き返した事がある。


 そんな事が有ったので、このルートは本当に通れるのか一度様子見に歩いてみないと、帰りのコースとして使えない。


 梅雨の中休みに、今年はこの新道の様子を見るべく、歩いてみることにした、とりあえず目標は白樺小屋までで、後は時間と残された体力との相談で、行き当たりばったりで出かけてみる。


 関越道で水上まで来ると、雨天注意の警報が出ている、天気予報は曇りのち晴れだったのに山の天気は解らない、土合に向けて登って行くと、わずかながら雨が落ちて来た、白毛門の登山口のある広い駐車場に着くと、すでに沢山の車が駐められてる。


 雨は濡れるほどでも無いので、支度をして出発する、土合橋から下をのぞくと、湯桧曽川は深い渓谷になっているのに驚かされた。


●すこし雨が降っているが出発する

土合橋下の渓谷 新道入口

 蓬峠方面入口(新道)の道標にならって、雨で濡れた道に入って行く、西黒沢橋を渡ると先に車が2台駐車してあった、そこから先は車が入れないように、テープが張られ、谷川岳登山指導センターの注意書がテープにつるしてある。


 テープをくぐって、雨が降ると川になる道に入って行く。


谷川岳登山指導センターの注意書 雨が降ると川になる

 道を歩いて行くと左側に斜面から流れてきた水が溜まった池が有り、水面に張り出した桑の枝葉に、「大峰山」にあった様な蛙の卵と思われる白い泡が着いていたモリアオガエルがこの辺にもいるのかな。


蛙の卵 登山概念図 立派な東屋

 川遊びの注意を促す看板と、登山概念図、立派な東屋のある広場を過ぎると、山道らしくなってくる、マチガ沢は鎖の付いた樹脂製みたいな茶色の橋が架けられていた、流されても鎖で繋がれているので、引っ張り上げればもとどうり?


●渡渉する沢が沢山ある

マチガ沢 一ノ倉沢分岐

幽ノ沢 JR巡視小屋

 何本か沢を渡って行くと、茶色の建物が見えてきた、JRの巡視小屋だった、芝倉沢にはトラロープが張ってあるが、沢が一段低いところを流れていて、水量も多く滑りやすい石の上を慎重に飛び越えた。


芝倉沢 ロープを伝って慎重に渡る

●後ろから登山者が

 道が湯桧曽川の河原に出ると、雪渓が残っている、そして一名の登山者が後ろから追いついて来た、今夜清水峠に泊まって、明日「朝日岳」「笠ヶ岳」「白毛門」とまわって帰るという。


河原の雪渓 滑りやすい沢

 健脚な人だったので、私が後を付いて行くことになり、やがて見えなくなってしまった、しばらくすると、スパッツを着けていたので、私が先きに行くことにする。


 私もスパッツは用意していたが、この頃になると、雨は上がり雲の切れ間から時々日が差す様になっていたので、裾が少し濡れてしまっていたが、そのまま歩くことにする、スパッツや、カッパを着るタイミングは本当に難しい。


●登山道は沢を離れる

 道は沢を離れ、傾斜がきつくなり、白樺尾根を登っているようだ、振り返ると、「白毛門」と赤倉沢が見えてきた。


 土合を出てからほとんど休まなかったので、休憩する事にする、休んでいても、後から来た登山者が登ってこない、急登は苦手なのか、私のペースが速いとも思えないが。


白毛門と赤倉沢 送電線鉄塔

 休憩後歩き始めると、右に分岐があり、送電線鉄塔に出る、ここからの展望はなかなかすばらしい、登って来た湯桧曽川や、板壁の反対側に行くと、 これから登る蓬峠方面の景色がすばらしい。


鉄塔から湯桧曽川 鉄塔から蓬峠方面

 鉄塔から登ると登山道脇に、ネットが掛けられている、ヘリコプターで荷揚げするときのネットみたいだ、そして道はすぐに旧道との分岐に出た、旧道には「降雨時には増水して渡渉困難・・・」の注意書きがある。


荷揚げ用のネット? 旧道との分岐の注意書

●白樺避難小屋

 分岐から5分ほど歩くと、あっけなく白樺避難小屋に着いた。


白樺避難小屋 蓬、清水峠分岐

 JR巡視小屋が立派だったので、白樺避難小屋は、あまりにも小さくて質素なのに驚いてしまった、扉を開けてみると、中はきれいだった、白樺避難小屋を出るとすぐに蓬峠と、清水峠への分岐があった、清水峠に行く時間はとても無いのでここはもちろん蓬峠方面に向かう。


シラネアオイが咲いていた 雪渓に出る

●怖かった雪渓

 分岐を蓬峠方面に向かい、右に回り込んで登って行くと、傍らにシラネアオイが咲いている、その先には雪渓がある、雪渓は堅くしまっているが滑りやすい、アイゼンが欲しいところだ、表面は溶けてトレースはほとんど無い、先の方に登山道が見えるので、そちらに向かう、踵でステップを切って慎重に進む、谷の下の方に雪渓が続いているので、滑り落ちたら、湯桧曽川まで落ちてしまいそうだ。


滑り落ちたら、湯桧曽川まで行ってしまう 滝のある沢

 この後、滝のある沢を越えると、崩落地があり、ここを登って良いのか迷ってしまった、傍らにはイワカガミが咲いていた。


崩落地 イワカガミ

●縦走路に出る

 そして見覚えのある、縦走路に出ることが出来た、ここで休みながら、これからどちらに行こうかと考える、蓬峠に行って、土樽に下るのが一番早く帰れるが、まだ時間が早いので、「茂倉岳」から土樽に下ろうと茂倉方面に向かう事にする、蓬峠から土樽に下るコースは下の方の沢を渡るところが、下草が茂って気持ちの悪いところで、何となく行く気になれない。


縦走路に出る

 縦走路を「茂倉岳」方面に歩き始めると、後ろから、一名の登山者が来た、若い登山者で、一日で馬蹄型縦走をするという、朝4時に土合を出て、11時に蓬峠なので、良いペースだ、ちょっと話して、先にガスで見えない「武能岳」方面に消えて行った。


 「武能岳」山頂に着くと、若い登山者が出発するところだった、私のペースもそれほど悪くない、山頂でおにぎりを食べて休んでいると二名の登山者が、茂倉岳方面から登ってきた、こちらも若い登山者で、なんと平標山から登って来たと言う、歩き始めて12時間であと8時間も歩けば着くだろうと言っていた、土合と元橋に車を駐めて2泊で歩くところを20時間で歩いてしまうという、若い人はうらやましい、記念写真にシャッターを押してあげるとすぐに出発していった。


武能岳山頂 縦走路から白樺小屋を見下ろす

●ガスが晴れてくる

 武能岳を出て、茂倉岳に向かう、見下ろすと歩いてきた白樺小屋と送電線鉄塔が見える、突然霧が晴れて、正面に思わぬ高さに茂倉岳と一ノ倉岳が見えて来た、これからあそこまで登るのかと思うと、ガスで見えない方が良かった?でもこの展望は最高だ。


茂倉岳と一ノ倉岳 ハクサンコザクラ

 登山道には花が沢山咲いていて、歩くにつれ天候が回復してきて遠くの山も見えて来た、新潟方面は雲海になっている。


苗場山 巻機山、朝日岳、笠ヶ岳

●茂倉岳山頂で

 茂倉岳山頂で、休みながら、帰路を考える、ここから土樽に下れば、5時に土樽の駅に着き、6時半の電車で土合に戻れる。


 これから谷川岳から西黒尾根を下っても6時半くらいには土合に着きそうだ、茂倉岳は縦走路で一番高い山だから、後は下れば良いのだからと気楽に考え、谷川方面に下ることにする。


茂倉岳山頂 一ノ倉岳山頂

 茂倉岳と一ノ倉岳の間の雪渓はたっぷり残っている、一ノ倉岳は写真だけ撮って、先を急ぐ、谷川岳から一ノ倉岳に登るときはかなりの急登だが、反対の登りも結構きつい何名かの登山者が登って来る、茂倉岳の避難小屋に泊まるようだ。


鞍部から谷川岳方面 ノゾキからのぞき込む

 ノゾキから下を見ると、一ノ倉沢に雪渓が残り出会いの駐車場まで見える、「オキの耳」には沢山の登山者が居たが、いつも沢山の登山者で賑わっている「トマの耳」にはもう誰も居なかった。


オキの耳 トマの耳

●だれもいない西黒尾根

 肩の広場の雪渓を慎重に下り、後は西黒尾根をひたすら下る、さすがにこの時間になると登山者は誰も居ない、そろそろゴンドラも止まる時間だが、まだ動いている。


厳剛新道分岐 谷川岳に日が陰る

 背後の谷川連峰から、夕日がさして来る、西黒尾根は何度か下っているが、険しい岩場が長く続いて、新しい鎖も増えている、久しぶりに歩くので間違えないよう、先のルートを確認しながら慎重に下る、厳剛新道分岐を過ぎると、何となく安心だ。


 樹林帯を下り、水場で冷たい水を飲むと、疲れた体が生き返った様だ、木々の間から、白いものが見えたと思ったら、谷川岳ロープーウェイベースプラザの屋根だった、登山指導センターの水で手を洗い、舗装道路を駐車場に戻ると蓬峠で会った若い登山者の車が、私の隣に駐めてある車だった。


 大宮から来ていた若い登山者は着替えてさっぱりした支度をしている、馬蹄型縦走は14時間を切ったそうだ、登山を始めてまだ2年だと言うが、いつも一人で登っているらしい、夕べ寝て無いので、仮眠をしてから帰るという。


 新道の様子を見るために来た谷川連峰だったが、はからずも馬蹄型縦走を半分出来てしまった、残りの半分は、今日よりだいぶ厳しいが、果たして出来るかどうか、楽しみだ。


●記録

 土合駐車場 6:41 -(1:07)- 7:48 JR巡視小屋 -(1:22)- 9:10 休憩 9:19 -(0:05)- 9:24 送電線鉄塔 9:27 -(0:11)- 9:38


 旧道との分岐 -(0:05)- 9:44 白樺小屋 -(0:02)- 9:46 清水峠分岐 -(1:03)- 10:49 縦走路に出る 10:57 -(0:46)- 11:43


 武能岳山頂 11:58 -(1:54)- 13:52 茂倉岳山頂 14:11 -(0:19)- 14:30 一ノ倉岳山頂 -(1:01)- 15:31 沖ノ耳 -(0:17)- 15:48


 トマの耳 -(0:51)- 16:38 厳剛新道分岐 -(1:29)- 18:07 登山口 -(0:26)- 18:33 駐車場