●登れないまま秋に成る

　夏の暑い時期には2000m峰が良い、「御座山」2112mも候補の一つとして、山行記録などを調べていたが、登る機会のないまま秋に成ってしまった。

　10月10日、天気が良さそうなので、「御座山」に出かけてみることにした、コンテスト中ということなのでJCGナンバーも調べておいた。

　早朝５時まだ暗いなか、自宅を出発する、ところが内山トンネルを抜けると、霧が掛かっている、フロントグラスも幾らか濡れてきた、天気予報を信じて、国道141号を南下して、小海町で南相木村方面に進む、めずらしい事に一度も迷うこと無く、栗生の「御座山登山口」に無事到着出来た。

　登山口のある林道終点の広場は、立派な案内板が有り、既に４、５台の車が駐車されていた、林道脇に駐車すればかなりの台数が置けそうであるが、100名山と違って、そう沢山人が来るとも思えないので、駐車場の心配は無さそうである、林道終点の広場からは、さらに南の方に新しい林道が作られている。

　仕度をしていると、私より下に停めた単独行の登山者が先に登って行った、少し遅れて私も出発する、案内板によると、登山口の標高が1450m、山頂まで標高差約660m、距離が2.5Kmとの事で、やはり登山口から急登である。

　登山口右に沢があったが、少し登ると道は右の沢に入ってしまう、登山口付近では水が有ったがいつのまにか、カラカラに枯れてしまい、石ころだらけである、赤テープやペンキなど何もないので、不安になって、注意して前後を見たが、他に道は無さそうである。

　そのまま登ると、やがて登山道は沢の左側に登り上げて明瞭な道になった、さらに登っていくと、いつのまにか水が出てきて、流れだし、瀬音を聞きながらの登りになる。

●滝で休む

　鎖を登り切ると岩峰の上に出て、一気に展望が開ける、南側がスッパリと切れ落ちている、ところが踏み後がはっきりしない、展望が良いので、写真を数枚撮って、北側に進むとまた踏み後が明瞭になった、どうやら素晴らしい展望に気を取られ、右に行くところを直進してしまったようだ。

　針葉樹林帯の中で、苔むした中に石楠花の木が沢山あり、湿り気があるためか茸が沢山生えていて、絵になる光景だ。

　右に曲がると前衛峰、「前御座山」の山頂で、石の祠がある。

　そこから金山沢のコルに一気に下ると樹林の間に、本峰の「御座山」の岩壁がやっと見えてきた。

　登り上げると樹林の中に大きな避難小屋が有った、のぞいてみたら小屋はかなり荒れていて夜、中から見上げれば星空が見えそうだ。

●御座山山頂

　西に進むと岩峰に飛び出し目指す「御座山」の山頂だ、展望が素晴らしい、岩峰は眼下前方西に延びているが、その遥か先には、「八ヶ岳」連峰が大きく横たわり、雲の上には南アルプスの山々、「ミズガキ山」、「金峰山」などの奥秩父の山々、避難小屋の有る樹林帯の北側には「両神山」「双子山」、白いナメクジのような「叶山」「御荷鉾山」は雲の中だ、かなり高く見えるのは「赤久縄山」のようだ、隣には「稲含山」、「小沢岳」や西上州の山並み、そして、「浅間山」から「黒斑山」「湯ノ丸」「烏帽子」の山塊と正に３６０度の展望である。

　前橋から来たという、登山者とエアリアマップを広げて山座同定を楽しむ。

　その前橋から来た登山者は、北側の白岩から加和志沢を登るつもりで来たのだが、登山口を間違えて金山沢のコースを登ってしまい、金山沢のコルに飛び出して初めてコースを間違えたのに気がついたという事だ。

　背丈ほどもある薮を漕いで登って来たらしく、前方岩稜の下の沢は倒木が沢山あると言っていた。

●無線運用

　その登山者も降りてしまい、山頂は私一人になったので、1200MHzでCQを出したところ、JA8**/1流山市のSさんという二文字コールのOMさんから声がかかり驚いてしまった。

　コンテスト参加という事なので、調べてきたコンテストナンバーを送ってあげたので、喜んでもらう事ができた。

　その後、群馬県勢多郡、沼田市、埼玉県加須市、入間郡、千葉県船橋市など6局ほど交信し、新たな登山者が登って来たので、腹ごしらえをして、山頂を後にした。

　下りはゆっくり歩くつもりが、傾斜がきついのでついつい早足になってしまい、また膝の痛みが出てきた。

●記録

　登山口 7:45 -(0:35)- 8:20 不動の滝 8:25 -(0:45)- 9:10 鎖場上 -(0:32)- 9:42 避難小屋 -(0:03)- 9:45 御座山山頂

　11:40 -(1:07)- 12:47 登山口

　1998年10月 foxtrot