謎が解けた父不見山(テテミズヤマ)
標高1047m
万場町、小鹿野町
登山日1998年 1月 5日

●98年最初の山は

 正月休み最後の5日は、朝起きると大変良い天気だ、特に予定もないので、簡単に登れそうな山で、まだ登っていない「父不見山」に行ってみることにする。


 「父不見山」は、130選、上州山歩、埼玉県の山 などに出ているが、一番詳しそうな 上州山歩 をコピーして持っていくことにする。


 結果として大いに役立ったし、これが無いとまず登れないような山だ。


 家を出てしばらく行ったところで時計を忘れたことに気ずいた、戻るには遠すぎる、年のせいか物忘れが激しい、時間は相手の局に聞けばいいさと、おおちゃくを決め込むしかないが、ローカルいわく、アマチュア失格であると言われてしまった。


●登山道に入る

 コーピーに従って神流川橋を渡って右折すると広場がある、道路反対側に斜めの道も有るので、間違い無さそうであるが、一般の登山道と違い甚だ心許ない。


 要所要所に赤テープが有るが、群馬県側には道標などまったく無いので、唯一ガイドブックのコピーが頼りである、二股の道に出たので左を行くことにする。


 この道は何の為の道なのか、ボプスレーのコースのように真ん中がえぐれたつづれ折りの道を、枯葉を踏む音と供にひたすら登る。


 二股の道が合流した先の左側に、道が有り、枝に赤テープが着けられている、そちらに入ってしばらく登ると林道坂丸線に飛び出した、この林道は幅も広いのでこれを通ればだいぶ楽が出来そうだ。


 林道を左に行くと、軽トラックが後ろから来た、荷台に犬を乗せている、林道にはすぐに右に入る広い道がある、送電線の巡視路に良く見られる標識が有り、トタンで囲った小さな畑がある、道は広く巡視路らしくないが、左に見える鉄塔の方に行っているようなので、こちらに向かうことにする。


 この道は採石場のような広場が有って、そこから幅が狭くなって、巡視路らしくなる。


 道には轍が残っていて、先ほどの軽トラックが登って行ったようだ、犬をつれた猟師がいるかと思うと気が重くなったが、ここまで来て帰るわけにもいかないので、そのまま行くと、あんのじょう、鉄塔の手前に軽トラックが停めてあった。


 巡視路は左に布きれが付けられた道が有ったが、猟師に会うと嫌な気がしたので、そのまま直進した、鉄塔のすぐ下で崩落している所があったが、先に行くとまた左に行く道があり、「父不見山」の道標が有った。


●おかしな道標

 だがこの道標は少しおかしい、右側が向きを示す矢印に成っているが、左側が鋸で切られたような跡がある。


 さらに矢印で示される方に、ボールペンのような細い字で×不明と書かれていて、木の枝に無造作に掛けられている。


 信用出来るかどうか悩んだが、道標の方向は「父不見山」の方を向いているし、真っ直ぐ行くと南の方に行ってしまいそうなので、道標に従って進むことにした。


 道は鉄塔の南側を巻いて東に向かい、思ったとおり左側から合流する道があった。


 布きれの付けられた左に向かう道に入れば、鉄塔の下を通って同じ道に出られたようだ。


 先を急ぐと、案の定鉄砲を持って犬を二匹も連れた、迷彩服の猟師が前を歩いていた。


 しばらく跡を歩いたが、追いついてしまった、一匹の犬が私の方をにらんで威嚇するので、猟師に頭を叩かれている、坂丸峠の少し手前で先に通してもらったので、引き離そうと一目散に先を急いだ。


 坂丸峠の祠で山歩きの安全を祈願して左折東向かう、杉林の中のうすくらい道を登り「丸山」の南を巻くと、T字路に突き当たった。


 ここには道標があり、ガイドブックには両方行けるが左に行くと書いて有る。


●残りの半分の道標

 道標を見たらなんと半分切り取られている、ここで一つの疑問が氷解した、切り取られた道標の半分はここから鉄塔の所に持って行かれたもので、このT字路を右に行ってしまうと、踏み跡が不明に成るようである。


 つじつまが合ったので気をよくして、尾根道を登ると、ここがけっこうな急登で、休み休みの登りである。


 「丸山」とのコルを過ぎて、休みながら後ろを見ると、樹林の間から双子山が見える、尾根を登り上げると、西、東の御荷鉾山が良く見える。


 三角点のある「長久保の頭」に出ると、山の南斜面が伐採されていて、正面に「武甲山」、少し左に「城峰山」など、幾重にも重なった山並みの展望が素晴らしい。


 急降下して登り上げた先が「父不見山」のようだ。


 「長久保の頭」で1200MHzでCQを出すと、「荒船山」と「QSOパーティー」の時とつい最近二度もつながった深谷市の局が呼んでくれたが、カードがBFなので No QSL でお願いしますという事で少しがっかりしてしまった。


●父不見山山頂

 430MHzで川越市からCQを出していた局にお声がけ、「父不見山」に行くと、途中で有線放送のものか、12時の時報が聞こえてきた。


 「父不見山」では430MHzでCQを出し日野市と上尾市の2局とQSOする事が出来た。


 ここからは、「長久保の頭」の樹林の上に両神山が確認できた。


 当初、帰りは来た道を戻ろうと思っていたが、例の猟師に会いそうなので、杉の峠の方に下る事も考えていた。


 しかしコピーを確認すると、いかにも距離が長い、登山道を外さなければ間違えて撃たれることもないだろうと思い来た道を戻ることにした、戻る道すがら、去年登った、両神山や、それに続く三角形のオオナゲシなどの山並みが確認できた。


 帰り道は猟師に会わないことを願いつつ大急ぎで下った、幸い猟師にでっくわす事も無く無事に駐車場まで下ることが出来た。


1998年 1月 foxtrot