燕岳
(ツバクロダケ)
標高2763m
安曇野市、大町市
登山日2019年 8月 3日
  燕岳はガスの中

● 初めての北アルプス

 中房温泉から燕岳へ登るコースはアルプス入門コースだそうだ、群馬県からは遠いのでなかなか来る機会が無かったが、長い梅雨がやっと明けたのでこの際登ってみようとチャレンジする事にした。


 夜8時くらいには出ようと思っていたが、準備に手間取り9時ころに成ってしまった、上信越道から安曇野へ向かうが、途中小諸辺りで雨が降り出し、ものすごい土砂降りになる。


 幸い雨は上がり安曇野ICで高速を降りて中房温泉を目指す、温泉が近ずくと真っ暗で狭い道は、急カーブでライトの照らす範囲から行き先が見えないほどカーブがきつい。


 駐車場に着くと、12時過ぎなのに道端に警備員らしい人が居て、第一駐車場に2台位、第二駐車場に4台位、第三駐車場に20台位止まれるから、行って停められるか試してみろと言う。


 何か意味が良く解らなかったが、橋の手前をまっすぐ行き第二駐車場に入ってみたが、車が沢山停められていて暗い中、とても停められそうに無かったので第三駐車場に戻ったが、すでに警備員は居なかった、たぶん駐車場が満車になったので、ずっと下の駐車場に車を止めるように案内する為に下ったようだ。


 三つも駐車場が有るのに、夜中の内に駐車場が一杯に成ってしまうとは、北アルプスが如何に人気が有るかがうかがえる、日曜日では込み合うと思って土曜日に決行したのは正解だったようだ、下の駐車場に止めさせられると余計なバス代や時間が掛かってしまう。


 駐車場に入り空いている所に停めた、後ろのシートをたたんで、寝る場所を作る、車が変わって初めての車中泊だ、今度の車は、シートをたたんでも平らにならないので、コンパネを加工して何とか寝る場所が確保出来るようにしたが、前の車の方がフラットに成って良かった、何とか寝られそうなのでこれで我慢するしかない。


 車の中は暑かったが、横に成っていると標高が1350m位あるのでだんだん涼しく成ってくる。


 少しまどろんだと思ったら4時位に成っていた外はまだ暗いが、コンビニで仕入れておいた「冷やし狸うどん」で朝食にする、支度をして外に出る、辺りは明るく成っていて出発する人も居る。


 私もザックを背負って出発する、何のせいなのか何時もよりザックが重いような気がする、寝不足も有って体調はあまり良く無いようだ。


● 合戦尾根を登る

駐車場を出発する 中房温泉の登山口

 舗装道路を登って行くと少し硫黄の匂いがして、中房温泉の登山口に着いた、バス亭とソフトクリームのディスプレイの有る売店、トイレがあり登山者が沢山いる、トイレを借りてから、登山道に入って行く、有名な合戦尾根という事で少し緊張する。


 登山道はいきなりの急登だ、前には大きなザックの人、後ろにも私と同じくらいの年齢と思しき登山者が歩いている、若い子がすぐに追いついて来るので道を譲るとあっという間に見えなくなってしまう。


前を行く大きなザックの登山者 第二ベンチに着いた

 やがて前を行く登山者に近づき何となく話しながら歩く、名古屋から来た人でこの二週間ほど山三昧らしい、何日か前に剱岳に登ったと言っていた、山を始めて3年目だが沢山登っているらしい、小屋泊まりを嫌ってテント山行を始めたようだ、今日は大天井岳まで行く予定とのことだった。


 段差の激しい樹林帯の道を登って行く、青空も見えているが雲が多い、強い日差しに焙られるという事もないが、遠くの展望は期待できそうにない。


 登るにつれて樹林越しに有明山の斜面が覗く、ケーブルの下をくぐるとその先が第二ベンチだった、ここで休憩ウイダーでエネルギーを補給する。


 登山者は沢山いて朝早くに登る人はそれなりに健脚な人たちのようでどんどん抜かれてしまう、登山道左側、樹林が切れた所からは表銀座縦走コースらしい稜線が望める、このあたりから下山してくる登山者が出て来る。


 ファミリー登山なのか小さな子供が元気よく下って行く、登山道は狭いのですれ違いのたびによけて道を譲る、こんなに沢山の登山者が居る山は久しぶりだ。


樹林帯の中登山道が続く 表銀座縦走コースの尾根が覗く

 今日は夏場の長い道のりなので水分補給のために、ハイドレーションを用意してきた、何時もはポカリスエットを水で薄めて入れていたが、使用後残った水分にカビが生えるようなので、水だけにしてみた、十分に洗ったはずだが、飲むと水が不味い、美味しい水は良く解らないが、不味いのはすぐわかる、元々不味い水なのか、ハイドレーションのせいで不味いのかは解らないが、それも体調を悪くする原因かもしれない。


 時間は十分有るし、無理をすると、足が攣るので、勤めてゆっくり歩くように心がけたが、それでも足が攣りそうな気がしたので、芍薬肝臓を一包飲んでおく、合戦小屋まで10分の標識が有る。


 登山者は非常に多く、何処の山に登っても若い人はあまり見かけないが、さすが北アルプス、若い人が沢山いる、女性同士の山ガールも沢山いる、登る人下る人大賑わいだ。


深くえぐれた登山道 合戦小屋まで10分

 合戦小屋の広場に着くとここにも多くの登山者が居る、空いているベンチにザックを置いて名物のスイカを買いに行く、800円だと思っていたら、500円でちょっと小ぶりだ、塩をかけようとするが、詰まっていてちっとも出ない、ふだんスイカを食べるときに塩はかけない方なので良しとする、山で冷えたスイカとはだれが考えたのかBESTマッチだ。


● 合戦小屋に着く

名物のスイカちょっと小ぶり 500円 合戦小屋から出発する

 名物のスイカを頂いたのですぐに出発する、樹林帯を出たので登山道脇には高山植物が咲いている。


カラマツソウ? 登山道脇から槍ヶ岳が見えるというが

 前を行く人が登山道脇の高くなった所から槍ヶ岳が見えるというが、残念ながらそれらしい物は全く見えない。


● 合戦沢の頭

合戦沢の頭 コバイケイソウ

 登って行くと開けた所に三角点とベンチがある「合戦沢の頭」らしい、ちょっと休んで先に進む、登山道は緩やかになったが所々に急な所がある、団体の登山者が下って来るとすれ違いで待たされるが、休めるのであまり苦にはならない。


ハクサンフウロは花が大きい チングルマ

 ここまで来てやっと燕山荘が見えた、あと少しだ、燕山荘下の斜面はお花畑に成っていて沢山の花が咲いている。


燕山荘が見える

ハクサンチドリ、他 稜線に登ると大展望でもガスで槍は見えない

 テン場の脇を通って稜線に登ると、正面に深く切れ落ちた谷があり大展望が広がる、まさに青天の霹靂だ、T字路は右に燕岳、左が燕山荘から表銀座縦走コースだ、地図を見たりテレビの番組などで有名なピークの場所などは解っているはずだが、やはりその場に立ってみて初めて全体の状況が把握できる。


● 燕山荘

燕山荘のベンチ 燕山荘下のコマクサ

 まずは燕山荘の方に行ってみる、コマクサが咲いているがちょっと遅いようだ、写真を撮るが写真では花びらが萎れているのは解らないだろう。


これもイルカ岩?

奇岩があるので、これが有名な岩かと思ったが、ちょっと違うようだ。


ガスが無ければ左上に槍が見えるはず

 縦走路の方を見るがガスで全く見えない、燕岳方面もガスが出ている。


 山荘のベンチでしばし休憩、焼きそばパンを食す、圏内なので山の会にLINEする、山荘前のベンチでは寛ぐ人が沢山いるが、私は今日中に帰る予定なのでゆっくりもしていられない、休憩後早々に燕岳を目指す。


● 燕岳へ

燕岳方面こちらもガス ガスの中、燕岳を目指す

 燕山荘から下って行くと空身の登山者が下りて来る、今まで沢山の人が居たがこちらは人が少ない、岩の間を進むとイルカ岩がある写真を撮っている人がいる、下の砂にはコマクサが咲いている。


イルカ岩 めがね岩

さらに進むといったん下って登りになる、後から山ガールが二人登って来るので先を譲る、登って行くと穴が二つ空いためがね岩がある、目指す山頂はその先に有るようだ、北燕岳への分岐をまっすぐ進み登ると燕岳山頂に着いた。


● 燕岳山頂

燕岳山頂 山頂には次々と登山者が来る

 憧れの北アルプス燕岳に何とか登る事が出来た、展望はガスで稜線がほんの少ししか見えないが有名な表銀座縦走路がどんな場所なのかが解っただけでも来た甲斐が有った。


 燕岳山頂の一帯は何処でも歩けてしまう、山頂南側のちょっと下った所に下りてザックを下す、アンテナを組み立ててストックに取り付けるが岩が有るだけなのでザックに足で押しつけてあまり安定しないが、何とかアンテナを固定する、チャンネルを廻しても、アンテナも廻してもほとんど変調が入って来ない。


 どちらに向けたら良いのか解らないが、ダメかなと思いながらも、CQを出すと、以前つながった事のある安曇野市の局が呼んで来る、その後塩尻市の局と、御嶽山を下山中の局が応答してくれた、標高が有るので電波はちゃんと飛んでいるようだ、交信も出来たのでおにぎりを一ついただく、山頂を見上げると次々と登山者が登って来ている。


 岩に触ると冷たくて気持ち良い、小さな粒はぽろぽろと崩れる。


ハイマツの中にハクサンシャクナゲ クルマユリ

 帰りは写真を撮りながらゆっくり下る、燕山荘で一息入れた登山者が登って来るのか、登山者が増えて来たようだ。


ガスの中に槍ヶ岳が有るはず 燕山荘まで戻る

 沢山の登山者がいる合戦尾根への分岐まで戻る、この景色も見おさめだ。


この景色も見おさめ キオン他

 カラフルなテントが張られたテン場の横を下るここも賑わっている。


ヤマハハコ  

 花を見ながら下って行くと、登山者が登って来る、ツアーの登山者も多く靴にタグを付けて連なって登ってくるのでしばらく待たされる。


大天井岳への稜線 有明山と穂高町

 下って行くと天候が回復して来て日差しが強く成って来た、岩場のすれ違いで待っていると下に、山頂が平らの有明山が見える、街並みは旧穂高町らしい、日差しが強く成ったので登るのは大変そうだ。


 ザックに付けている無線機を見て、登山道の警備をしている人ですかと、話しかけて来る登山者がいる、遊びですよと言うと、誰と話すのかと聞いてくる、免許を持っている人です、山頂で御嶽山に登っている人と話したと言うと、「それは良いね」と言ってもらえた。


● 合戦沢の頭

合戦沢の頭まで戻る

 合戦沢の頭まで戻り、ベンチで休みながら無線をを聞いてみると燧ケ岳の移動局が出ていたので、急遽アンテナを組み立てる、交信が終わったので呼んでみると、取ってもらえた。


 お互い標高が有るので強力だ、その後東御市の烏帽子岳に登っている局がCQを出しているので交信する、東御市の烏帽子岳?って何処だろうと思ったが、湯の丸、烏帽子の烏帽子岳だ、いまだに合併で町村が変わった山が把握できない。


 無線をしているうちにも天候が回復ガスが切れて燕山荘が見えるではないか、西の方に燕岳の山塊も見えている、山頂がどれか解らないが。


燕山荘が良く見える 燕岳も見えている、どれが山頂だろう

 ベンチに居た高齢者の登山者が、まだ登れると自慢げだ、燕山荘の今日の宿泊者は600名で打ち止めで、ひとつの布団に2名だと言っていた。


合戦小屋まで戻る、登山者は沢山いる 無事中房温泉の登山口まで戻れた

 合戦小屋まで戻ると、まだ登山者が沢山いる、休む必要もないのでそのまま通過する、長い合戦尾根下って行くと、登って来る登山者が引きも切らない、かなり高齢者の登山者がゆっくり登って行く、小屋泊まりだとは思うが何時に着くのかと心配に成ってしまう。


 第一ベンチで休憩し下って行くと沢音が聞こえて来る、長かった合戦尾根を何とか登って来る事が出来た、初めての北アルプス、正確には乗鞍岳を登っているので2度目だが気分は初の北アルプス、無事登って来られた、展望はガスでいまいちだったが北アルプスの状況が把握できた意義は大きい、今度は何処に登ろうか。



● 記録


 第3駐車場 4:49 -(0:15)- 5:04 登山口 -(1:11)- 6:15 第2ベンチ 6:20 -(1:07)- 7:27 富士見ベンチ 7:34 -(0:37)-


 8:11 合戦小屋 8:25 -(0:21)- 8:46 合戦沢の頭 8:49 -(0:54)- 9:43 燕山荘 10:03 -(0:31)- 10:34 燕岳山頂 11:22


 -(0:28)- 11:50 合戦尾根分岐 -(0:35)- 12:25 合戦沢の頭 12:54 -(0:09)- 13:03 合戦小屋 -(0:16)- 13:19 富士見


 ベンチ 13:24 -(1:03)- 14:27 第1ベンチ 14:33 -(0:25)- 14:58 登山口 -(0:15)- 15:13 駐車場


カシミール3Dで作る赤往路、青復路

2019年 8月 foxtrot