雁坂から甲武信ヶ岳へ


雁坂峠
(2082m)

雁坂嶺
(2289m)

破風山
(2318m)

甲武信ヶ岳
(2475m)

登山日2013年8月13日

埼玉県秩父市と
山梨県山梨市県境
雁坂嶺にて

●彩甲斐街道

 昨年、乾徳山に行ったとき長い雁坂トンネルを通った彩甲斐街道と呼ばれる国道140号線は雁坂トンネルが出来るまで登山道が国道で「開かずの国道」とよ呼ばれていたらしい。


 彩甲斐街道は大変立派な道だがこの道を通るたびにどこか良さそうな山はないかと思っていた。山と高原地図を見ると西沢渓谷から雁坂峠に登り西進、雁坂嶺、破風山、甲武信ヶ岳から再び西沢渓谷に下るルートがある。


 コースタイムを足すと11:40でだいぶきついが、ネットで調べると幾つかのレポートがあり何とか成りそうなので行ってみることにする。


 8月12日夜7時くらいに家を出る、西沢渓谷の駐車場には10時前に着くことができた、外は涼しいが車の中は暑く、西沢大橋の照明もまぶしくてなかなか寝付けない、窓を少し開けていたら蚊が入ってきてうるさく飛び回るしまつだ、灯りを点けると何処かとまってしまうが消すとまたすぐに飛び回る、ドアを開けはなしてしばらく車から離れてみたが、戻って灯りを消すとまた飛び回る、そうこうしているあいだに目の前を過る物があるので叩いたら上手く命中したようで以降蚊に悩まされる事はなかった。


 4時前に目覚まし時計に起こされ、サンドイッチを食べながら支度をする、外はまだ真っ暗なので、ヘッドライトを付けて出発する。


雁坂峠登山道入口

●雁坂峠に向けて出発する

 駐車場から国道に出て少し下り雁坂峠登山道入口を左に入る、沢音を聞きながら歩いて行くと釣り場なのかロープの張られた施設がある、それを過ぎると道票があって左に急な登山道が続き登って行くと舗装道路にでた、雁坂峠へ登る道は舗装された林道を登るはずだったのでこの道はショートカットの道の様だ。


舗装に書かれた案内 雁坂トンネルの料金所施設

 林道を歩いて行くと鶏冠山大橋の下を通過する、林道左には大きな廃墟が建ってる雁坂トンネルの工事の事務所か宿泊施設だったのだろうか、歩いて行くとやがて左に明るい施設が見えてきた近づいて行くと雁坂トンネルの料金所の施設だった、辺りはまだ暗く林道、国道ともカーブしているので方向感覚がおかしくなってしまいどちらに向かっているのかさっぱり解らない、でも林道を登って行けば雁坂峠に行ける事は間違いない。


 料金所を左に見ながら登って行くと辺りはだんだんと明るくなってきた、13日の秩父方面の天気予報は晴れ時々曇り、以前甲武信ヶ岳に登った時は天気が悪く辺りの山もほとんど見えなかったので、好天を期待して来たのだがあまり思わしくない、駐車場に着いて見上げた空には星がたくさん見えたのにその後曇ってしまい、わずかに見える青空に望みをつなげて林道を登って行く。


 単調な林道を登って行き靴ひもが緩んでいたのを直していると左の藪の方でシカが2匹飛び跳ねていた、やがて林道終点の踏切沢橋に着く、ここからいよいよ登山道が始まる。


遠くに見えるのが目指す破風山あたり? 踏切沢橋

 登山道は久渡沢と並行して樹林帯を登りちょっと危険な沢を超えて今度は沢の左岸を登る、展望は全くきかないが途中で休んでいるとまたもやシカがこちらを見ている。


危険な沢を超える 展望が開けるが生憎の天気

 井戸ノ沢を過ぎたあたりから樹林帯を出て展望が開けてくるが生憎の天候だ、でも物は考えようで太陽が出てくると気温も上がり体力の消耗も激しくなるのでこの天候は先の長い歩きには好都合なのかもしれない、この日初めての登山者が雁坂峠方面から下ってくる。


雁坂峠に着く 日本三大峠

●雁坂峠

 誰もいない雁坂峠に着くが写真を撮ってベンチに腰を下すと寒いくらいだ、さっそく無線機を取り出して430MHzでCQを出すと、ガスで見えない富士山山頂の局が応答してくれた、富士山の山頂は風が強いようで風きり音が入っている、カードはまだ発行していないとの事だったが、次の日富士山山頂の写真付きのメールをいただいた、ホームページを開設しているとこんな嬉しい事もある物だ、せっかっく送っていただいた写真なのでここに紹介します。


I さんから送っていただいた富士山山頂 雁坂峠

 無線はこの後横浜市の局と交信することが出来た、そんなことをしていると1名の登山者が雁坂嶺の方から下って来た破風山の避難小屋に泊ったようで、笠取方面に下ると言う、こちらの山域に詳しい人だったので情報をただいて雁坂峠を後にする。


峠にいる登山者雲に隠れているのは水晶山(2158m)

●雁坂嶺

 雁坂嶺への道は笹の緩やかな登りで、赤い小さなシモツケソウが咲いている雁坂嶺の山頂には立派な山頂標識がある、写真を撮って無線は加須市と横浜の局と交信することが出来た。


雁坂嶺へ登る道 山頂のベンチと山頂標識

●破風山

 雁坂嶺を出ると登山道は一旦下り縞枯れ現象とでも言うのか、立木の枯れた場所を通過するそして正面に東破風山が見えてくる、この登りはきつく、途中で休んでいると一名の登山者が下ってきた、「登りですか下りですか」と聞くので「登りです」と答えると、「登りも下りもきついです」と言って雁坂峠方面に下って行った。


東破風山への登り 東破風山山頂

 東破風山は立派な山頂標識があるが、地形図には記載がないので写真だけ撮って通過する、西破風山への道は大きな岩が重なりあったシャクナゲの樹林帯で重なりあった岩の隙間を覗くと光苔が緑色に光っていた。


西破風山へ向かう 西破風山山頂

 西破風山山頂にも立派な山頂標識と三角点がある、樹林に囲まれていて展望はない、たとえあったとしても今日の天候では何も見えないのでまずは無線だ、CQを出すが日光市の局が応答してくれただけで平日のせいかモービルの混信が入りあまり芳しくない。


正面に木賊山下が見えない

●笹平に下る

 まだまだ先は長いので一局交信で来たので先を急ぐことにする、歩き始めるとすぐに木賊山と思われる山が見えるが何と下る距離が長いのか。


笹平の破風山避難小屋 だるまストーブがあり綺麗です

 急な斜面を下って行くと霧が流れて一瞬甲武信ヶ岳も姿を現す、笹平の避難小屋は最近改築されたらしく、中もとてもきれいで、この辺りから広瀬湖がかすかに見ることが出来た。


広瀬湖がかすかに見える

サイノ河原 サイノ河原から西破風山

●サイノ河原で昼食

 笹平を過ぎるとまた登りの始まりで、深くえぐられた段差の大きい登山道をひたすら登る事になる、登山道にはシカがいて私の姿を見つけて藪の中に消えて行った、砂地に露岩の出たサイノ河原に出たのでここで昼食を取ることにする。


 靴も脱いでしばし休息を取る、そのあいだにも雲が流れ、下ってきた西破風山が姿を現す、昼食後支度を始めると高度計を落としてしまった事に気がついた、アナログ式の高度計は安い物だがそれなりに重宝していたので残念だ。


甲武信ヶ岳山頂

●甲武信ヶ岳

 木賊山と甲武信小屋との分岐に出ると時間はまだあるので甲武信小屋方面に行くことにする、何とこの道はわずかではあるが下っているではないか、それほど時間がかかってはいないが小屋まで長い歩きに思われた、途中一組の登山者とすれ違う、小屋からの登りはここまで歩いてきて疲れた体にはきつく休みながらやっとの思いで甲武信ヶ岳山頂に登った。


 2010年以来2度目の甲武信ヶ岳山頂だ、山頂には一名の登山者が休んでいた、まだ若い人で猟師をしているという事で藪の歩きには慣れていると言っていた、しばらく話してから私は無線機を取り出して聞いてみると都合よく静岡県駿東郡からCQを出している局がいたので交信することが出来た。


 後は西沢渓谷に向かって下るのみだがその前に木賊山への登りがある、”猟師くん”に別れを言って私が先に出発するが登りはなかなかペースが上がらず、木賊山山頂で休んでいると、猟師くんが登って来て先に下って行った、私はしばらく休んでから近丸新道を下って行くと通行止めの鶏冠尾根への分岐がありその先に戸渡尾根の分岐がある”戸渡尾根”などと書かれても何処へ行くのか解らず、地図を出して確認すると西沢渓谷へ下る道に間違いない、西沢渓谷と書いてくれれば調べ る事もなかったのに。


木賊山山頂 戸渡尾根分岐

●急な戸渡尾根

 この戸渡尾根の登山道はとんでもない急峻な道でここを登るのはさぞかし大変だろうと思われる、今までこれほど急で段差のある登山道は初めてだ、それとシャクナゲのトンネルが沢山あって、瑞牆山の鷹見岩に行く道のようでシャクナゲの季節はさぞ素晴らしいと思われる。


 徳ちゃん新道との分岐まで下ると、猟師くんが休んでいた、猟師くんは近丸新道を登ったので、帰りは徳ちゃん新道を下ると言う、私はどちらでも良かったが事前にNETで調べたところ徳ちゃん新道を下った記述が有ったので徳ちゃん新道を下る事にしていた、声をかけて先に出発する、出だしが狭い尾根に成っていて地図にも書いてあるが急坂だ。


シャクナゲのトンネル 徳ちゃん新道下りながら仰ぎ見る

 ひたすら歩いて西沢渓谷の道に出る、若者のグループや家族ずれなどが歩く道を下って行くと西沢大橋が見えてきて駐車場に着き長かった歩きも終わりに成る。


西沢渓谷の道に出る

 駐車場で帰りの支度をしていると猟師くんも降りてきた、何と私の車のすぐ近くに駐車していた。


●記録

 駐車場 4:10 -(0:10)- 4:20 登山道へ入る -(0:24)- 4:44 料金所 -(0:43)- 5:27 踏切沢橋 -(0:42)- 6:09 休憩 6:18


 -(1:15)- 7:33 雁坂峠 8:05 -(0:34)- 8:39 雁坂嶺 8:55 -(0:37)- 9:32 休憩 9:44 -(0:11)- 9:55 東破風山 -(0:26)-


 10:21 西破風山 10:43 -(0:26)- 11:09 笹平ら -(0:38)- 11:47 サイノ河原で昼食 12:18 -(0:26)- 12:44 分岐 -(0:12)-


 12:56 甲武信小屋 -(0:20)- 13:16 甲武信ヶ岳 13:40 -(0:32)- 14:12 木賊山 14:19 -(0:07)- 14:26 分岐 -(2:12)-


 16:31 西沢渓谷 -(0:27)- 16:58 駐車場